社会保険労務士法人なみはや事務所

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「無期転換社員就業規則の作成」

有期契約社員に無期転換申込み権が発生するのが2018年4月以降に集中します。法的根拠は、労働契約法18条で、有期契約社員が1年更新を繰り返した場合に、2018年4月1日以降に当該申込み権が発生します。

無期転換社員に適用する労働条件は?

無期転換申込み権の発生に備えて、企業は権利が発生する時点までに無期転換した場合の労働条件を説明できるよう準備が必要です。そこで、”無期転換社員の労働条件をどのように定めるか?”を考えられる対応としては、以下の3つがあります。

  • ①従前同様の労働条件(タダ無期)
    契約期間に関する規定以外は無期転換前の労働条件を維持する方法
  • ②無期転換社員独自の労働条件
    無期転換に伴い、業務や配置の変更可能性を付加するかわりに従前の処遇よりも少し高めに設定する方法
  • ③正社員的な労働条件
    正社員と同様に扱う方法

無期転換社員に適用する就業規則

ここでは、①および②についてコメントします。

  • ①の場合は、有期契約社員の就業規則に無期転換社員の取扱いを付加します。必要な作業は以下のとおりです。
  • ・適用範囲、定義、採用時の提出書類を見直す。
  • ・年休付与等勤続年数に関する規定がある場合、転換前の有期契約社員の勤務期間を算入するかどうかを検討する。
  • ・「退職」に関する項目は、有期契約社員と無期転換社員で事由が異なるので違いが分かるように見直す。特に「期間満了」、「定年」または「定年後再雇用制度」の規定等。
  • ・無期契約への転換規定を設ける。その際、無期転換前の有期労働契約において、契約更新時に変更していた労働条件は、無期転換後も定期的に見直し及び変更を行う規定を設ける。
  • ②の場合は、無期転換社員に新たに付加された労働条件を就業規則に盛り込みます。必要な作業は以下のとおりです。
  • ・有期契約社員就業規則から、採用時の提出書類、契約期間及び更新に関する規定を削除する。
  • ・「退職」に関する部分に、「定年」や「定年後の再雇用制度に関する規定」を設ける。
  • ・無期転換社員の労働条件で、勤続年数に関する規定がある場合、転換前の有期契約社員の勤務期間を算入するかどうかを検討する。
  • ・個別の労働条件ごとに変更すべき点をピックアップする。

無期転換社員の定年

最後に 無期転換社員の「定年」についてです。無期転換社員は、期間の定めのない契約ですので、「定年」を設けなければ契約を終了することはできません。そのため正社員同様、「定年」を定めることが必要になります。通常の職場であれば、無期転換社員の定年は正社員と同じ「60歳」に設定することで異存はないでしょう。しかし、業種によっては、60歳以上の有期契約社員が多数在籍している場合、60歳を超えた年齢で無期転換が発生します。この場合、第2定年ともいうべき制度を就業規則に規定する必要があります。規定例は以下のとおりです。

  • 【規定例】 定年 第△△条
  • 1.第2項を除き、無期転換社員の定年は、満60歳の誕生日とする
  • 2.前項にかかわらず、無期契約への転換時にすでに満60歳以上の無期転換社員の定年を以下のとおりとする
    • ①無期契約に転換する時すでに満60歳に到達している無期転換社員の定年は、満65歳の誕生日とする
    • ②無期契約に転換する時すでに満65歳に到達している無期転換社員の定年は、満70歳の誕生日または無期転換から2年を経過後の誕生日のいずれかの先に到来する日とする。

以上 第2定年という制度を取り入れた場合の規定例ですが、参考にしてみてください。