社会保険労務士法人なみはや事務所

FAQ

よくあるご質問FAQ



労働者派遣業の許可申請をする場合の行政の窓口はどこでしょうか?


行政の窓口は、都道府県労働局の需給調整事業課(東京都、大阪等は需給調整事業部)です。必要な手続き、書類、許可証が交付されるまでのスケジュール等窓口で確認できます。


最近「人材派遣業界の2018年問題」という記事を見かけましたが、詳しい内容を教えてください。


2018年問題は、人材派遣会社にとってやっかいな問題です。2018年とは、2015年9月に改正された派遣法は、個人単位で3年の期間制限や事業所単位で3年の期間制限を設けましたが、2018年に抵触日が到来します。また「旧特定派遣事業者」から「旧一般」への財産的基礎の経過措置の期限も2018年中9月までです。また、2013年4月に改正された労働契約法により派遣労働者の無期転換申込み権の発生も5年後の2018年に集中しそうです。


労働局の行政指導には従わなければならないでしょうか?


行政指導の種類には4種類あります。派遣法に違反している場合には「是正指導書」が発行されます。その場合、期限までに「是正報告書」を提出して下さい。同じ事案で複数回是正指導書が発行されても改善が認められない場合には、「是正勧告書」が発行されます。これは「是正指導書」よりも強い法違反への指導です。従わない場合には行政処分を行われ、社名が公表されます。

1.雇用保険に関するご質問



会社都合で退職した場合、基本手当はどのくらいもらえるのでしょうか?


原則として、退職時年齢と雇用保険に加入していた期間に応じ、90日から330日の基本手当日額が支給されます。


雇用保険の基本手当の受給期間は、延長することができるのでしょうか?


受給期間内に、妊娠、出産、育児等の理由により引き続き30日以上職業に就くことができない方が、ハローワークにその旨を申し出た場合に、受給期間が最長4年に延長されます。


雇用保険の基本手当は、懲戒解雇の場合、貰えないのでしょうか?


懲戒解雇の場合、雇用保険の基本手当の取扱いは自己都合退職と同じように3か月の給付制限はありますが、基本手当は貰えます。


過去に7年ほど雇用保険の被保険者期間がありますが、今後再就職した場合この期間は通算されますか?


基本手当を貰わず、再就職までの期間が1年未満であれば通算されますが、1年以上経過していれば、これまでの被保険者期間はリセットされることになります。

2.労災に関するご質問



仕事中にけがをし、入院しています。労災保険から休業に対する給付が受けられますか?


業務上災害と認められた場合、4日目から給付が受けられる場合があります。詳しくは社労士にお聞きください。


労働者が仕事中のケガをして休業した場合に、休業した最初の3日間の補償はどうするのですか?


労災保険の休業補償給付が受けられるのは、休業開始後4日目からです。本来業務上の災害については、事業主に補償責任がありますが(労基法75条~88条)、労災保険は事業主に代わって補償を行うものです。したがって、労災保険で補償されない休業直後の3日間については、労基法に基づき事業主が補償を行わなければなりません。


労災の休業補償給付と傷病手当金の両方を受給することはできますか?


休業補償給付は仕事中のケガや病気が原因で仕事を休んだときに支給されるものであり、傷病手当金は業務外のケガや病気に対して支給されるものです。従って重複して受給することはできません。


職場でセクハラ、パワハラなどでうつ病になったら労災になりますか?


仕事との因果関係を立証できる場合は、労災申請をすることができます。労災認定は国が行いますが、一度社労士に相談ください。


自営業者ですが、労災保険の加入はできますか?


一定の職場の自営業者には特別加入という制度があります。詳しくは社労士にご相談ください。


労災事故が起きた場合、いつから労災保険が使えるのですか?


病院等の最初の受診から労災保険適用となります。労災事故である事をまず病院等に伝えてください。


会社の従業員Aは、出勤の際、会社の玄関前の階段を踏み外し膝を強打し、立てなくなってしまった。これは通勤災害になるのでしょうか?


これは通勤災害ではなく業務災害になります。被災した時刻が始業前ということと場所的に会社の玄関前ということから「これは通勤災害なのでは」と思われるかもしれませんが、被災した場所が会社の施設内である以上それは業務の性質を有するということになり、まず間違いなく業務災害として取り扱われるでしょう。なぜならば、労災保険法上の「通勤」というのは業務の性質を有するものは除くとなっているからです。このことは仕事が終わり帰宅しようとして会社の施設内で被災した場合も全く同様な考え方でよろしいかと思います。

3.年金に関するご質問



60歳の定年退職後も引続き社員を再雇用して給与が減額したとき、社会保険の標準報酬の変更手続きはどうすれば良いですか?


通常、給与の大幅な(2等級以上の)改定があった場合は、改定の4ヶ月目から標準報酬変更の手続きを取ります。しかし、60歳の定年退職後も引き続き嘱託等で再雇用される場合は、いったん社会保険の資格喪失手続きをし、それと同時に資格取得の手続きをしますと、4ヶ月を待たずに再雇用後の標準報酬に改めることができます。その際、就業規則等に定年の定めがあることを要します。


年金に税金は掛かりますか?


老齢年金には課税され、源泉徴収されます。遺族年金・障害年金は非課税です。


ねんきん定期便とはどのようなものですか?

  • ①ねんきん定期便は、国民年金・厚生年金保険加入のすべての被保険者に、保険料の納付記録や年金見込み額をお知らせするもので、平成21年4月から毎年定期的に行われています。
  • ②毎年、誕生月に通知が行われます。
  • ③作成月の前月までの期間が記録されています。


60才以降も会社で働きます。年金の受給年齢も来ますが、年金の額に影響は?


一般に在職老齢年金と言われる制度です。60才台前半と65才以降に2区分されます。給与と年金額を合計して、ある一定額を超えた場合、年金の一部あるいは全部がカットされます。


年金も雇用保険・失業給付も同時に受給できますか?


同時には受給できません。どちらか一方を選択します。年金は年金事務所、失業給付はハローワークで金額を試算してから選択してください。


退職しましたが、次の就職先が決まっていません。年金の手続きは?


厚生年金保険から国民年金へ移行の手続きが必要です。厚生年金保険の資格喪失届は会社が行いますが、国民年金の加入は、ご自身で年金事務所か市町村役場で行ってください。配偶者が被扶養者(国民年金第3号被保険者)でしたら、その方の手続きも必要です。


厚生年金の被保険者になれるのは何歳までですか?


厚生年金の適用事業所に使用される70歳未満の人が、被保険者になります。

4.健康保険に関するご質問



パート・アルバイトでも健康保険に加入できますか。?


社会保険に加入している会社にお勤めの場合、所定労働時間、所定労働日数が法令等で定められた日数・時間以上であれば、パート・アルバイトでも加入できます。


国民健康保険に加入していますが、会社に就職した場合、健康保険や国民健康保険の手続きは自分でしなくてはいけませんか?


会社に就職した場合、会社が手続きを行います。しかし、国民健康保険証の返還手続きは、ご自身で行ってください。


治療費が高額になりそうです。限度額適用認定証はどこで貰えますか?また、対象は入院だけですか?有効期限もありますか?


国民健康保険であれば市区町村の窓口、健康保険であれば全国健康保険協会、若しくは健康保険組合に申請してください。入院だけでなく、通院等でも使用できます。有効期限は月単位で設定でき、最長1年間です。


兄弟姉妹を扶養家族とすることは可能ですか?


扶養認定には、同居要件と収入要件の二つがあります。また、平成28年10月より、被保険者の兄弟姉妹については、収入要件等の生計維持関係があれば可能となりました。


国民健康保険料減免について教えてください。


減免制度は、各市区町村ごとに条例で定められており、申請によって減免されることがあります。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口でご相談ください。


健康保険給付の申請に期限はありますか?


健康保険給付を受ける権利は、受けることができるようになった日の翌日から2年で時効になります。


交通事故でケガをしました。健康保険は使えますか?


交通事故、けんか、他人の飼い犬にかまれたときなど第三者の行為によってケガや病気をした場合でも、仕事中または通勤途上のもの以外であれば、健康保険を使って治療を受けることができます。その場合、必ず「第三者行為による傷病届」をご加入の協会けんぽ支部へ提出してください。また、被害者が健康保険から給付を受けた場合、協会けんぽが立て替えた医療費(保険者負担分)は、本来医療費を支払うべき加害者に対し請求します。


資格のなくなった健康保険証を使用したらどうなりますか?


民法上の「不当利得」に該当し、医療費は全額自己負担となるため、ご本人に協会けんぽで負担した医療費(総医療費の7~9割分)を返還していただくことになります。健康保険証が使えるのは、 退職日までです。退職日の翌日からは使用できませんのでご注意ください。

5.電子申請に関するご質問



電子申請を導入したいのですが、何を準備したらいいのでしょうか?


事業主が電子申請を行う場合は、事業主(法人)または事業主(個人)の電子証明書が必要です。なお、所定の手続きにより総務部長等の電子証明書で事業主の電子証明書に代えることができます。電子証明書が準備できれば、政府の電子申請窓口(e-Gov)から電子申請が可能です。


社労士に電子申請を委託する場合には 事業主の電子証明書は必要ですか?


社労士が事業主等に代わって電子申請を行う場合は、事業主から所定の書類を取得しておけば社労士の電子証明書だけで手続きができますので、事業主の電子証明書は必要ありません。

1.賃金に関するご質問



1日30分未満の残業代は切り捨ててもいいですか?


残業代は原則として1分単位で発生し、計算しなくてはいけません。しかし、1か月間の残業時間を集計したうえで「30分未満は切り捨て」、「30分以上は切り上げ」で計算すれば問題はありません。


欠勤1日に対する賃金カット額はどのようにして計算すればよいでしょうか?


労基法上は欠勤の賃金カット額の計算方法については特に規定はありません。一般的にとられている方法としては、1日の賃金額を出して欠勤1日についてその額をカットする方法です。1日の賃金額を出すには、月給額を1年間における1カ月平均の所定労働日数で割る方法などがあります。


遅刻した者がその日に残業した場合も、残業時間に対する割増賃金の支払いが必要ですか?


労基法上、時間外労働の割増賃金の支払いが義務付けられているのは、実労働時間(8時間)を超える労働です。したがって、遅れてきた場合はその日の業務開始以降の実労働時間で8時間を超えた部分についてのみ割増賃金を支払うことになります。


35%以上の割増賃金を支払う対象となる法定休日はあらかじめどの日か決めておくべきですか?


法定休日(原則:1週1休)は、必ずしも休日を特定することを義務付けているわけではありません。しかし、法定休日と法定外休日とで異なる割増率を設けている場合には、就業規則などで単に「1週に1日」ではなく、具体的に一定の日(毎週日曜日など)を法定休日と定めるほうが望ましいでしょう。


最低賃金は時間額で定められていますが、賃金が日給又は月給の場合、最低賃金と比較するのにはどうするのですか?

  • ①日給については、日給額を1日の所定労働時間(日によって所定労働時間が異なる場合は1週間を平均した1日あたりの所定労働時間)で除した金額と最低賃金の時間額を比較することになります。
  • ②月給については、月給額を月における所定労働時間(月によって所定労働時間が異なる場合は、1年間における1月平均所定労働時間)で除した金額と最低賃金の時間額を比較することになります。


給料が最低賃金を上回っているかどうかを比較する場合に通勤手当、職務手当、賞与は含めてもいいのでしょうか?


最低賃金と実際の賃金を比較する場合に、含めない賃金については、最低賃金法の省令等によって、「①臨時に支払われる賃金(結婚手当等)、②1カ月を超える期間ごとに支払われる手当(賞与等)、③所定時間外労働、所定休日労働及び深夜労働に対して支払われる賃金、④当該最低賃金において算入しないことを定める賃金(精皆勤手当、通勤手当、家族手当)」となっています。したがって、ご質問のうち通勤手当、賞与は比較の際は含めないということになります。

2.年休に関するご質問



退職間際の労働者から、残った年休を退職日までの勤務日に充てたいといわれたら、拒むことはできませんか?


年休は労働者の権利ですから退職間際の年休の申請に対して拒むことはできません。実際上、退職前の業務の引継ぎなど必要がある場合は、退職日を遅らせてもらうなど、退職する労働者と話し合ったほうがよいでしょう。


消化しきれなかった年休の分の賃金を支払って買い上げることはできますか?(東労)


もともとの年休の目的は、日ごろの業務からはなれて休むことですから、買い上げる代わりに休めなくなってしまっては、意味がありません。したがって、原則として年休を買い上げることはできません。


定年退職後、再雇用した場合、勤続年数を通算して年休を与えなければならないでしょうか?


年次有給休暇を付与することが必要となるための要件のひとつとして、労基法第39条では「6ヶ月以上継続勤務」することを定めとしていますが、この「継続勤務」とは、労働契約が存続している期間の意であり、いわゆる在籍期間のことであると解されています。労働契約が存続しているか否かの判断は、実質的に判断されるべき性格のものであり、形式上労働関係が終了し、別の契約が成立している場合であっても、前後の契約を通じて実質的に労働関係が継続していると認められる限りは、労基法第39条にいう継続勤務と判断されます。定年退職による退職者を引き続き委嘱等として再採用している場合(退職手当規定に基づき、所定の退職手当を支給した場合を含む。)は、継続勤務となります。


パートタイマーに年休を付与しなければならないでしょうか?付与する場合、基準日はいつでしょうか?また、年度途中で所定労働日を変更した場合、付与日数をどのように取り扱うべきでしょうか?


6ヶ月間継続勤務し、8割の出勤率があれば、比例日数に応じた年休を付与しなければなりません。基準日については、予定の労働日数に応じた日数の年休を付与するものであり、年度途中で労働日数が、増加したとしても付与日数を見直す必要はありません。しかし、会社と労働者の話し合いで年休の日数を増やすことは差支えありません。


業務上の傷病や産前産後で休業している日数及び育児休業期間・介護休業期間は年休の出勤率計算上は欠勤扱いとしてよいでしょうか?


労基法第39条第7項は、労働者が業務上負傷し、又疾病にかかり、療養のために休業した期間及び育児休業介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業をした期間又は同条第2号に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が労基法第65条の規定により休業した期間は、出勤率の関係では出勤したものとみなす旨を規定しています。これらの休業期間については本来欠勤でありますが、出勤率の算定に当たっては出勤したものとみなして労働者の故意過失によらないこれらの長期休業について年次有給休暇の付与に当たり不利に働くことがないように取り扱っているものであります。したがって、設問の期間は出勤したものとして取り扱わなければなりません。

3.36協定に関するご質問



従業員に残業させるには、労働基準監督署に「36協定」の届出が必要と聞きましたが、毎年必要なのですか?


36協定の有効期限は1年とすることが望ましいとされており、実務的には毎年の届け出が必要です。

4.セクハラ・パワハラに関するご質問



同僚の女性社員からセクハラの相談を受けました。どのように対応したらいいのでしょうか?


相談者は「周囲に知られたら働きづらくなる」「相手に知られたら嫌がらせを受けるのではないか」といったことを心配しているものです。被害者が相談したことでもう一度傷つくことを二次被害と呼んでいます。二次被害の防止のために次のことに気をつけてください。被害者の承諾なしに相談内容を他人に漏らさない。「あなたがまじめすぎる」など被害者のせいにする発言をしない。「世間はそういうもの」など問題を軽視する発言をしない。また、解決は個人の力では難しいことも多いものです。相談を受けた人もひとりで抱え込まないことが大切です。被害者の了解をとって信頼のできる外部機関に相談するのもいいでしょう。

5.退職に関するご質問



退職したら、どんな手続きが必要ですか?


会社から離職票を受取ったら、ハローワークで求職の申込みをしてください。健康保険は、国民健康保険に加入するか、健康保険に引き続き任意加入するか、家族の扶養に入るなどの方法があります。年金は厚生年金から国民年金への変更が必要です。配偶者の変更も忘れないようにしてください。


当社の営業社員が退職し、県内の同業他社に再就職しました。退職の際、当社の顧客名簿等をコピーしていたらしく、当社の顧客が同業他社へ取引を変更し始めて大きな損害が出ています。今後、退職した後しばらくは同業他社への就職を禁止したいのですが可能でしょうか?


ご質問の「退職した社員に競合する会社に就職させないよう義務付けること=競業避止」を、労働契約の特約事項とすることは可能です。反面、憲法により国民は職業選択の自由を保障されている訳ですから、どのような場合にも認められるということではありません。まず、「競業避止」について就業規則に記載されており、労働者もそのことについて真に合意していることが前提となります。また、就業規則への記載内容としては、「企業として流失させることができない企業固有の秘密情報・ノウハウ・利益を限定・明確化する」「対象となる労働者の地位・職務内容を限定する」「競業が禁止される期間・場所を限定する」等の事項を含むことが重要であり、加えて「代替措置(在職中の処遇や秘密保持手当,退職金の加算等)」を考慮することが、特約の有効性を高めうることに十分留意してください。


営業職で採用したA従業員が1年以上経過しても営業成績が他の者と比べても低く向上見込がないので、本人と面談し話し合いをしたところ、数日後退職届が出てきた。この場合の離職理由?どうなりますか?


この場合解雇として扱うのか、一種の退職勧奨行為と解すのか、又は退職届が出たのだから本人の自己都合による退職でよいなど、3つのことが考えられます。しかし一般的に考えると、本人との面談・話し合った結果を受けて数日後に退職届が出されたことから判断すると、話し合いの中で「あなたの為にも考え直してはどうか」といった話がされたものと想像できる。会社に確認は必要だがこの場合は退職勧奨として取扱うのが妥当かと思われます。

6.整理解雇に関するご質問



当社は、経営合理化策の一環として、人員削減に踏み切らざるを得ません。どのような点に注意すればよいのでしょうか?


いわゆる整理解雇には、厳しい要件が設けられています。すなわち、次の要件を満たしていない場合、解雇権の濫用として解雇が不当であると判断されることがあるということです。人員整理に踏み切る前に次の点に十分留意してください。

  • ①人員整理の必要性があること
  • ②解雇回避努力義務を履行していること
  • ③被解雇者選定に合理性があること
  • ④手続に妥当性(上記についての説明責任の履行、誠実な交渉の履行していること)があること
  • ※解雇回避努力の手段としては、「雇用調整助成金」「中小企業雇用安定助成金」の活用が有効です。

7.解雇に関するご質問



採用から一週間が経過した社員の素行があまりにも悪いので解雇したい。どのような点に注意すべきでしょうか?


まず、解雇そのものについては、労働契約法第16条において、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」とあります。つまり、「解雇する理由が明白である」「解雇に至るまでの間に、是正機会や弁明機会を付与している」「解雇する理由を本人に明示する」というステップが最低限必要となります。次に、労働基準法では、解雇する場合には30日前までに予告するか、30日分の平均賃金の支払い(予告日数は平均賃金の支払い日数分短縮可能)を義務付けています。ただし、特例のひとつとして、「試みの使用期間中の者で、試みの使用期間の初日から14日以内であれば解雇予告を必要としない」としています。ご質問の場合、採用から1週間とのことですので、この1週間が試みの使用期間であれば即日解雇も可能であると言えます。ただし、解雇の理由が客観的に合理的であり、社会通念上相当であることが必要であることに十分ご注意ください。

8.退職金に関するご質問



なんとなく気がついてはいたのですが、退職した社員について、在職中に会社の資金を使い込んでいたことが発覚しました。退職金を支払いたくないのですが、可能でしょうか?


お気持はよく理解できます。しかし、実損害を請求することは可能ですが、仮に、貴社の退職金規程に、退職後に在職中の非行が発覚した場合には、退職金を減額または不支給とする旨の規定がない場合は、退職金を減額したり、不支給とすることはできませんのでご注意ください。

9.試用期間中の社会保険に関するご質問



当社は雇い入れから3か月間試用期間を定めていますが、最初から社会保険に加入させなければいけないですか?


試用期間中でも、適用除外者に該当しない限り事業所に使用されるようになった日から加入させなければなりません。

10.安全衛生法に関するご質問



労働安全衛生法では、事業場ごとに衛生管理者を選任したり、衛生委員会を設置したりすることになっていますが、そもそも事業場とはなんですか?


事業場の解釈としては、昭和47年9月18日発基第91号通達の第2の3「事業場の範囲」で示されています。その中で、労働安全衛生法は、事業場を単位として、その業種・規模等に応じて適用することとしており、事業場の適用範囲は、労働基準法における考え方と同一です。つまり、一つの事業場であるか否かは主として場所的観念(同一の場所か離れた場所かということ)によって決定すべきであり、同一の場所にあるものは原則として一つの事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とされています。例外としては、場所的に分散しているものであっても規模が著しく小さく、組織的な関連や事務能力等を勘案して一つの事業場という程度の独立性が無いものは、直近上位の機構と一括して一つの事業場として取り扱うとされています。また、同一の場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門がある場合には、その部門を主たる部門と切り離して別個の事業場としてとらえることにより労働安全衛生法がより適切に運用できる場合には、その部門は別個の事業場としてとらえることとしています。この例としては、工場の診療所などがあげられます。なお、事業場の業種の区分については、「その業態によって個別に決するもの」とされており、事業場ごとに業種を判断することになります。例えば、製鉄所は「製造業」とされますが、その経営や人事の管理をもっぱらおこなっている本社は「その他の事業」ということになります。


安全または衛生委員会の委員の構成は、具体的には、どのようにしたらよいでしょうか?


その事業場で事業の実施を統括管理する者などの中から一人を事業者が指名し、その者が議長となります。その他に、安全管理者、衛生管理者、産業医、安全に関し経験を有する労働者、衛生に関し経験を有する労働者のうちから、それぞれ、委員として事業者が指名しなければならないこととなっています。また、議長となる委員以外の委員の半数は、労働者の過半数で組織する労働組合(それがない場合には、労働者の過半数を代表する者)の推薦に基づき指名しなければならないこととなっています。


会社で実施する定期健康診断を拒否する労働者がいる場合は、その者の健康診断は行わなくてよいですか?


労働者には健康診断を受診する義務がありますから(安衛法66条5項)、原則として労働者は事業者の実施する健康診断を拒むことはできません。ただし、労働者が他の医師による健康診断を受け、その結果を証明する書面を提示すれば、重ねて行う必要はありません。健康の確保の大切さ、そのための健康診断の重要性などについて日頃から労働者に説明しておくことが大切です。


健康診断は、業務時間中に行わなければならないのですか?


一般の定期健康診断については、特に所定労働時間内に実施する義務はありません。もっとも、できるだけ労働者の便宜をはかり、所定労働時間内に行うほうが望ましいです。なお、特殊健康診断については、所定労働時間内に行わなければならず、時間外などに実施すれば、その時間について割増賃金を支払う必要があります。



就業規則改訂が必要になるのは、どのような場合ですか?


労働基準法等労働関係法令の改正がある場合、給与制度等労働条件の変更がある場合等の際に改訂が必要となります。


パートタイマーに対する就業規則を作成しましたが、パートタイマー従業員からだけ、意見を聴取すればよいでしょうか?


労基法90条は、当該事業場の過半数を超える労働者が加入する労働組合がある場合には、その組合、それがない場合には、その事業場の過半数の労働者を代表する者の意見を聴取しその意見書を添付して、届出することにしていますので、その事業場において、パートタイマーを含む全労働者の過半数が加入している組合、それがない場合には、その事業場の全労働者の過半数の代表者の意見を聴取しなければなりません。


当社は、本店以外に支店が3か所あります。就業規則の届出は本社管轄の労基署だけでよろしいですか?


就業規則の届出は、10人以上の事業所ごとに届出の義務があります。御社の場合は、従業員数はそれぞれ10人以上であれば、各労基署に届け出てください。