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2017年08月23日作成
派遣関連
「派遣元に対する行政指導のイロハ」
大阪労働局の方針
人材派遣会社にとって、労働局の指導方針は気になるところです。大阪労働局のHPに、人材派遣会社に対する労働局の重点課題が掲載されています。それによると、H29年度の重点課題は、労働保険・社会保険の適用促進を柱に掲げています。政府が推進する「働き方改革」の実現に向けた取り組みを受けて、「非正規雇用の処遇改善」につなげる考えです。また、派遣先に対しても労働者派遣法の内容を理解してもらうためのセミナーを実施し、社会保険未加入の派遣労働者を受け入れない点などを啓発していくということです。労働局の指導監督の対象になってから準備するのでは手遅れです。日常の自己チェツクに加え、専門家によるリーガルチェックを並行して行うと安心です。
労働局の指導監督
冒頭で労働局の重点課題について触れましたが、いざ指導監督の対象に選ばれたときの対応はどうすればいいのか?また、労働局の「指導票」と「是正指導書」はどう違うのか?など、人材派遣会社として知っておくべき知識をまとめてみました。
- 1. 指導監督の種類
- 1-1 定期指導
- 定期指導は、各都道府県労働局の方針、年間計画に従って事件性の有無にかかわらず実施されます。毎回テーマを決めて実施します。
- 1-2 申告への対応
- 派遣(請負)労働者や派遣先の労働者からの申告、内部告発等が発端となり行われます。
- 1-3 他の行政機関からの回送案件
- 他の都道府県労働局からの回送事案や労災がらみで労基署からの回送事案が該当します。
- 1-4 労働基準行政とのタイアップ
- 「合同監督」と称され、労働基準監督官による臨検と併せて事業所を訪問します。
- 2. 指導~処分の各段階
- 2-1 労働需給調整指導官の権限は?
- 労基署の労働基準監督官は、個人で、その場で、是正勧告書を発行する権限がありますが、派遣行政の労働局需給調整指導官は、労働局に持ち帰って上司の決裁が必要です。そのため指導文書発行まで時間を要する場合があります。
- 2-2 行政指導の種類
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- 行政指導には以下の4種類があります。
- (a)助言・・・口頭で指導を行い、原則として履歴に残らない。
- (b)指導票・・・法違反ではないが改善を要するものについて書面を発行する。
- (c)是正指導書・・・法違反事項について是正を指導する書面。 期限が決められており期日までに「是正報告書」を提出しなければならない。
- (d)是正勧告書・・・是正指導書よりも強い法違反への指導同じ事案で複数回是正指導書を交付し改善が認められない場合に勧告する。
- 3. 行政処分
- 行政処分には以下の3種類がありますが、ここからは記者発表により社名が公表されます。
- 3-1 事業改善命令
- 改善計画を策定し、行政監視のもと計画に沿って適正なものに改善してゆくことになります。時には、数年間の「追跡調査」が行われます。
- 3-2 事業停止命令
- 期間を切って、事業を行うことを停止させます。就労中の派遣労働者はそのまま就業を許されますが、労働者派遣契約の更新や新たな契約を結ぶことはできません。
- 3-3 許可取消・事業廃止命令
- 旧一般労働者派遣事業の場合は許可取消、旧特定労働者派遣事業は事業廃止となります。
- 「指導監督の種類」
- ①「申告への対応」で行われる場合は、目的が明確なので定期指導よりチェックが厳しく、対応も慎重に!
- ②他の行政機関からの回送案件とは、例えば大阪労働局が悪質な派遣元事業所の指導をした後、別の労働局に当該派遣元支店の調査依頼をすること。